「ゴルフ場を買いませんか?」の少々"過激"なコピーにギクリとさせられるホームページがある。山口県宇部市の船木GCのそれだ。
これに気づいたきっかけは読者からの「山口県宇部市にある船木GCというコースが3月末で営業停止になり、売りに出されている。1日回り放題で大ファンだった。営業を引き継ぐところがあるか取材してほしい」という内容のメールだった。
ホームページには確かに「ゴルフ場を買いませんか?」のタイトルの下に、令和2年3月31日をもって閉鎖するとして、長年の愛顧への謝辞が述べられている。ゴルフ場の売買は普通、水面下で行われるが、このような"公募"は珍しい。
同GCに取材すると「昨年の10月から2億円程度で売りに出しています。3件ほど問い合わせがありましたが、契約には至っておりません。うちは9ホールですが、土地自体は20万㎡あり、広い道路からも近いので、工場敷地として買ってくれないかと思っています。太陽光発電も考えましたが、売電価格が安く、採算が取れません」(同GC代表取締役、前田信三氏)と話す。
ゴルフ場経営が成り立たなくなったのは「ゴルフ人口の減少はもちろん、近くにあるチャンピオンコースの宇部72CCなどで5000円のプレーフィなどを打ち出されると、うちは太刀打ちできません」(同)
ただ同GCの強みはパブリックで借地もないことから普通の不動産取引ができることだろう。会員制ではこうはいかない。
こういったゴルフ場売買の現状は全国的にみればどうなのか、ゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏は次のように分析する。「2000年〜05年をピークに、PGMやアコーディアが業界再編したのはご承知の通り。それ以降は2極化し、首都圏のコースは20~30億で売れるが、それ以外は全く値がつかない状態。工業団地にするといっても莫大な金がかかり、水利権なども厄介。現況でいえることは、ゴルフ場業界で需要と供給のバランスが崩れているということです」
いまのところ、メールしてくれた読者の期待には応えられないようだ……。
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