日本で最初に開場したゴルフ場の、当時の"グリーン"が再現された。
設立者のA・H・グルーム
日本初のコースはいわずと知れた神戸ゴルフ倶楽部。英国人貿易商のアーサー・ヘスケス・グルームとその仲間たちが故国を偲んで、六甲山頂に9ホールのコースを開場したのが、1903年(明治36年のこと)。当時の山頂は笹が茂っていて、岩だらけで芝が生育できない状態だった。そこで土のティグラウンドと土のグリーンを造り上げたわけだ。
このサンドグリーン再現のきっかけは、3年前、クラブハウス裏の物置小屋の横から石のローラー3台が発見されたこと。テニスのグラウンド整備と同じく、この石のローラーでグリーンの表面をならしていたのだ。
再現の動機について支配人の池戸秀行氏は「オリンピックが日本で開催されることになり、日本のゴルファーはもちろん、訪日する外国人のためにも117年前の日本のゴルフ場をアピールしようと思いたちました」と語る。
サンドグリーンの造り方の手法は残されていない。想像力を駆使して造成作業は始まった。その過程で判明した課題は土の選定と表面の仕上げ、それに排水にかかわる部分。それを少しずつクリアし、練習グリーン横に当時のサンドグリーンが再現された。
造成の手法は残っていないが、サンドグリーンのローカルルールなどは口伝で残っている。
当時のグリーンは約20ヤードの円形で周囲を5インチくらいの高さの縁で囲まれ、ホールは常にグリーンの中心の同じ場所にあった。グリーンにボールが乗った場合、「オン」ではなく「入った」といっていたという。
スピードを調整する砂も、盛り上がりは手の甲で平らにできるローカルルールもあった。乗ったボールが縁(ガッター)に止まった際は、シューズ2足分を空けて動かすことはできたが、日本人と外国人のサイズのあまりの違いにもめたことがあったなどのエピソードも残されている。
神戸GCではこのサンドグリーンのお披露目を4月9日のプレオープン日(本オープンは4月12日)にメディア、有識者を集めて行われる。一般ゴルファーが“見学"とラウンドを望む場合は往復ハガキで応募できる。詳細は同クラブのホームページに記載されている。
日本ゴルフの遺レガシー産を是非、堪能してもらいたいものだ。
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