コロナ禍で苦戦を強いられるコースが多いなか、新東京都民ゴルフ場(東京都足立区)の再開という明るいニュースが届いた。
同ゴルフ場は、昨年秋の台風19号の際に全面冠水。致命的な被害を受け、運営会社は昨年末をもって廃業すると表明していた。
しかし、今年に入ってから全国で病院、介護老人施設、学校、ホテルのほか、3つのゴルフ場も経営している葵会グループが全面支援に乗り出した。同ゴルフ場は河川敷にあり、国土交通省から管理を任されているのは足立区。そして、同区から管理運営の委託を受けた地元運営会社に葵会グループ(バイオシステム㈱)が資本参加し、同区もこれを了承したというわけだ。地元でもゴルフ場存続に反対する意見はなかったという。
東京都民ゴルフ場は1955年に開場した老舗コース。当時の名手、林由郎が在籍し、師匠のバッグ担ぎで青木功がこの地で修業したことでも知られる。背が高く痩せていた青木は、その頃建った東京タワーになぞらえ"タワー"と呼ばれ、チーピン(どフック)ばかり打っていたという。
バイオシステムの河本貢司社長は「ゴルフ場は2、3カ月放っておくと復活が難しくなります。ですから、迅速に動く必要がありました。改修費などがかかるので経営収支はトントンだと思いますが、なにしろアクセス至便なところに魅力はあります。それに、私たちのグループは病院経営を主としているので、健康増進につながるゴルフはぴったりです」と、再建に手を挙げた理由を語る。
確かに所在地は荒川の右岸、JR赤羽駅、王子駅からバス、タクシーで15~20分。首都高の鹿浜橋から2キロという便利さ。台風被害を受ける前まで、9ホールながら年間2万2000人ほどの入場者があったという。
「アクセスの良さはジュニアが行ける必須条件。それに距離も短めの9ホール(パー31)ということで、年配ゴルファーにも合う。老若男女が気軽に行ける貴重なコースです」と、ゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏。
現在、土砂を取り除き、張り替えたグリーンの芝刈り込みなど復旧工事は急ピッチで進んでいる。コンディションの完全復旧まではあと1年ほどかかりそうだが、まず8月からのオープンを目指している。手引きカートによるセルフプレー、平日は到着順、土日は予約制だ。
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