畑岡奈紗が優勝争いを演じ、4位に入ったショップライトクラシック。勝ったのは33歳のメル・リードだった。イングランド出身のベテランがたどった波乱の人生とは……?
リードが米ツアーに本格参戦したのは17年。それまでは欧州ツアーが主戦場で通算6勝をマーク。アマチュア時代には全英女子オープン(07年)でローアマに輝いたこともあり、女子版ライダーカップとされるソルハイムカップにも3度出場した経験がある。
しかし若手が台頭する米ツアーでは苦戦が続き、ようやくチャンスが巡ってきたのは2週間前のキャンビアポートランドクラシック。トップで最終日を迎えたが74の大叩き。逆転で、同郷のジョージア・ホールにトロフィをさらわれた。
だがこのときの苦い経験がショップライトで生きた。「SNSを見ていたら“メル・リードはビビリだ"っていうツイートがあったんです。ビビるから結局勝てない、って。それを奮発材料にしてショップライトでは気持ちで負けないように頑張りました」
結果、後続に2打差をつけ待望のアメリカ初勝利を手繰り寄せた。
12年には最愛の母を交通事故で亡くした。しかも、それは欧州ツアーに出場する自分の応援のため訪れたミュンヘンで起きた悪夢だった。心の傷は癒えることはない。だがリードは必死に前を向いた。
18年には同性愛者であることをカミングアウト。勇気のある行動と賛同される一方で誹謗中傷も受けた。
「誰を愛するかでその人の評価が変わるのは不思議なこと。私たちアスリートの発言は少しは世間を変える力があると思います。“ありのままの自分でいいんだ"と思える。“ありのままの君でいいよ"とコミュニティが受け入れてくれる。そんな社会になれば」とリードはカミングアウトの意義を語った。
彼女を慕う同僚は多く、優勝を決めた瞬間も多くの選手がシャンパンシャワーで祝福。人徳だろう。
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