4カ月前に娘亡くしたビジェガスがそれでも戦う理由
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
内容は紙雑誌掲載当時のものですので、詳細の状況等は変わっている場合があります。ご了承ください。

週刊ゴルフダイジェスト 2020/12/15号
2021/02/23更新

4カ月前に娘亡くしたビジェガスがそれでも戦う理由

 カミロ・ビジェガスが36ホールの自己ベストを更新し、RSMクラシックで久々に優勝争いを演じた。結果は6位に終わったが、右肩の故障からの復活劇を後押ししたのは2歳になる前に短すぎる生涯を閉じた娘ミアちゃんの存在だった。

 “スパイダーマン"の異名をとり、ツアー4勝を挙げたビジェガス。だが3年前に右肩を痛め試合に出る機会が激減。下部ツアーに降格していた。

 幼なじみだった妻マリアさんとの間にミアちゃんが誕生したのは18年の5月。試合に出られないこともあり、ビジェガスはよく娘をジムに連れていった。そこが彼女のお気に入り。歩けるようになると大好きな父のあとをどこまでも追いかけ一緒にスクワットをしては周囲を笑わせたという。

 異変が起きたのは今年3月、歴代優勝者として出場したホンダクラシックの週。娘が泣き止まないため医師を訪ねると歯が生えるので痛いのではと言われたが、念のため他の病院を訪ねMRIを受けると脳腫瘍が発覚。しかもガンが小脳と脊椎に転移しており、即手術。患部を除去したが、2週間後にはまた腫瘍がゴルフボール大になっていた。

 青天の霹靂。生死の狭間をさまよう娘を想い、父は三日三晩泣き続けた。手術は5回に及んだ。しかし7月26日、22カ月の尊い命は天に召された。「ミアが私たちを選んで生まれてきてくれたことに意味がある。どこにいても私たちの幸せを願ってくれているはずです」(マリアさん)

「選択肢は2つ。毅然とした態度をとるか犠牲者になるか。後者になれば暗い場所をさまようことになる。それをミアは望んでいない。だから我々は恩返しを選択し、ネガティブをポジティブに変える」とビジェガス。その言葉どおり彼はツアーで復活の狼煙をあげ、娘と同じ病に苦しむ子どもたちのための基金を設立した。

 RSMの試合中、ビジェガスは練習場で虹を見たという。「ゴルフは難しい。でもスタートしたら集中して前向きに挑む。それをミアが教えてくれた」

 戦う理由がそこにある。

  
【関連記事】こちらも注目です!
2014/09/01 帰ってきた“スパイダーマン”あのライン読みは封印?
2009/11/20 小田さん、マーカーじゃないビジェガスがクレームをつけてもいいんですよ

一覧へ戻る


バックナンバー

最新号はこちら

週刊ゴルフダイジェスト最新号

アクセスランキング

  • 月刊GD
  • チョイス
  • みんなのゴルフダイジェスト