欧州V26歳の若者の人生が波乱万丈すぎる
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 2020/12/22号
2021/02/23更新

欧州V26歳の若者の人生が
波乱万丈すぎる

 南アフリカで行われた欧州ツアーのアルフレッドダンヒル選手権で地元のクリスティアン・ベゾイデンハウトが後続に4打差をつけツアー2勝目を飾った。舌を噛みそうな名前のこの選手、26歳にして波乱万丈の人生を送る“猛者"といえよう。

 本人が米ゴルフ誌に寄稿した手記のはじまりはこうだ。「2歳のとき両親と訪れたスーパーでソーダの瓶を拾った。僕はそれを飲んだ。ソーダではなかった。ネズミの駆除剤だったんだ」

 気を失って床に倒れたベゾイデンハウトは病院に搬送されICUで数週間生死の狭間をさまよった。医師が「死ななかったのが奇跡」というほど瀕死の状態から生還したが、全身の神経にダメージが残った。そのせいで彼は吃音になってしまった。

「どもって友達にからかわれるのが嫌だった。4歳でクラブを握り、8歳から試合に出るようになったけれど、人前で喋らなければならない状況になると緊張して頭のなかが真っ白になった」

 パニック症状が出たため、医師は彼にベータブロッカー(交感神経β受容体遮断薬)を処方した。症状はましになったが14年に出場した全英アマで薬物検査に引っかかった。「10年以上薬を処方されて、それが違法薬物だったなんて知らなかった」。2年間の競技出場停止処分を受け、心はズタズタ。夢だった世界アマ(アイゼンハワートロフィー)にも出場できなかった。しかし、情状酌量で出場停止は9カ月に短縮された。

 プロに転向してからも苦労は続いたが17年に欧州ツアーにデビューすると19年のアンダルシアマスターズで地元のヒーロー、ジョン・ラームを破って初優勝。今年憧れのマスターズにも招待され予選突破。先のアルフレッドダンヒルで2勝目を挙げ、いまや世界ランク41位で「米ツアー本格参戦を考えている」

「ベータブロッカーはあれ以来のんでいない。もうパニックにはならないし吃音も治まってきた。薬がなくても生きていけているよ」

 ベゾイデンハウトの名をメジャーで聞く日も近いかも。

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