R&Aが女性会員受け入れ!260年の「歴史」を変えたわけ
 

週刊ゴルフダイジェスト「BACK9」の内容を、バックナンバーとしてほぼそのまま転載しています。
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週刊ゴルフダイジェスト 10/14号
2014/10/07更新

R&Aが女性会員受け入れ!
260年の「歴史」を変えたわけ

 スコットランドが住民投票により、独立が否決された折りも折り、世界ゴルフの総本山、R&Aは260年の禁を破って女性会員を受け入れると発表した。

オールドコースの1番ティの後方に聳えるのがR&Aのクラブハウス。"ここ"に女性会員も入ることが許されるようになった

 R&Aの正式名称は「ロイヤル・アンド・エンシェントゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース」で、設立は1754年。現在、会員が内外、2400名(日本には11名)いる。世界中の全会員に投票を呼びかけ、4分の3以上の有効票を受け、その85%が「女性会員」受け入れに賛成を示したという次第だ。

 日本で会員の1人、全英オープンの競技委員を長く務めた川田太三氏にもその通知書が届いている。「質問は2つでした。1つは女性会員入会に賛成か否か。2つめはその女性会員を15名入れることにイエスかノーでしたが、実は結果は予想されていたことです。先日軽井沢で開催された世界アマにR&Aのピーター・ドーソン事務局長も来日していて、ずっと一緒でしたが、女性入会は"当然"といった態で、話題にものぼりませんでしたからね」(同)

 米国ではすでにあのマスターズを開催するオーガスタナショナルGCが、2年前に元国務長官、C・ライス氏ら2人の女性を受け入れている。性別もだが、人種差別への非難の矛先もかわしたのではないかとされた。

 オーガスタの決断が"流れ"を変えた……。

「世界的な大会をやっているから"公"となり社会的世論に従わざるを得なくなるわけです。ならば公的大会はいっさい止めて、従来通り男だけのクラブを守っているところ(米国・サイプレスポイントC)もあるし、日曜の午後だけ女性プレーヤーに開放しているところ(米国・パインバレーGC)もあります」(前出・川田氏)

 セントアンドリュースは女性もプレーできる!

 そもそもクラブがなぜ女人禁制なのか。その歴史を英国ゴルフ史に詳しい大塚和徳氏に語ってもらうと―。

「クラブの萌芽はR&Aが設立される10年前の1744年、『ジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リース』。その原型がR&Aにつながっていくのですが、中心になったのはフリーメイソン。石工のギルドで当時城塞、貴族の邸宅など彼らがいなければ立ち行かないエリート集団でした。もちろん男だけなので、クラブの原型の名前にジェントルメンの名がついているのです。今回の措置はその歴史を破るもので、社会的潮流に乗じたとはいえ、私個人的には残念なことです。女性が入会してどうするのか?何をしたいのか?」(同)

 たしかにR&Aはコース自体を所有していない。セントアンドリュースはパブリックコースで、もちろん女性もプレーできる。オールドコースをはじめ、ほか6つのコースはセントアンドリュース市が所有してメンテナンス、ラウンド予約など、市庁内の組織リンクストラストが運営する。R&A会員であっても、ラウンド予約はリンクストラストでの抽選となる(ただ予約時間枠を多く持ち、断然有利だが)。

 また、会員組織はR&Aだけでなく、他にもあり、その中には女性だけの会員組織も2つほどある。R&Aはその中で世界のルールを制定したり、全英オープンを主催したりする権威ある会員組織ではあるが、形としてはクラブハウスに会員の部屋(事務局も)があるにすぎない。

 とはいってもルール改正や全英オープンなど、女性会員は入会したらそれらの決定にかかわることができる。「女性が入ってきても2400人分の15人でしょう。決定権にはほど遠いですね」(同氏)

 また女性入会問題が再燃する火種も残る。というのも全英オープンを開催するコースの1つにミュアフィールド(1744~)があるが、ここはいまだに女性会員を受け入れていない。今後、全英オープン開催時には論議が再燃するに違いない。

 
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